《伝統 》
高須海岸まで先祖の霊を迎えに~七狩長田貫神社夏越祭り
鹿屋市田崎町の七狩長田貫神社(通称田崎神社)で旧暦6月晦日の8月3日、夏越祭が行われた。
旧暦6月と12月の晦日に行われる祭りは、知らず知らずに犯した罪や穢れを除き去る大祓行事。
6月の大祓は夏越の祓(なごしのはらえ)で、鹿児島では夜に六月燈が神社で催される。
七狩長田貫神社の夏越祭は、神社のご神体を神輿に移し、竹笹を持った先祓いの後に7体の神面と神輿が隊列を組み、神社から高須海岸まで神幸する。
今年はバスで神社から高須地区入口まで移動。入口には高須町内会一同で一行を出迎え、そこからいっしょに商店街を歩いて、高須海水浴場まで神幸した。
海岸には昨年の盆以降に不幸のあった家族らが、神幸の到着を待っていた。
神輿は海岸岩場の旅所で祭り、初盆を迎えた家庭がみこしに白米と御神酒などを供えた。
神事が終わると準備された浜砂をいただき、海水を汲む。これらは持ち帰り、浜砂は玄関や家の四隅を清め、海水は家の周囲を清める。
先祖の霊は七夕にあの世を旅立ち、生前の家に帰って来ると言い伝えられている。
初めて帰って来る先祖の霊が、無事に家まで帰って来るように、初盆の家庭では高須海岸まで先祖を出迎えに行く行事。
神事が終わると浜辺にゴザを敷き、各家族毎に円座になり、海を眺めながら亡き霊が無事に帰ってくるように、海を眺めながら宴が開かれた。
かつての高須海水浴場は、県内で鹿児島市の磯海水浴場に次ぐ賑わいで、特に鉄道が運行していた頃はにぎわい、寿司詰め状態の客車は傾いてひっくり返るのではと思うくらいの客で、高須駅から隣の海水浴場まで徒歩の行列ができていた。
鹿屋市田崎町の二田ミチ子さんは、父の二田一也さんが82歳で永眠された。初盆のため家族2人で高須海岸まで精霊を迎えに来ていた。
猛暑のため、一行はいつもより早く海水浴場を出発し、神社に向けて出発した。高須地区の人々は町の入口まで神幸のお供し、一行を見送った。