2025年05月09日 07時25分

《雑草 》

周辺まで巻き込む半島全体の話~成長産業へのアプローチ

 今年の大型連休は飛び石で、毎年のイベントも多く開催されにぎわったようだが、恒例の催しにはあまり行けず仕舞いだった。
 内之浦岸良では、大学生たちによる小型・軽量・安全性を重視した設計による次世代小型ロケットの開発と運用体制の確立を目指すためのハイブリッドロケット初号機「CO-1」打上実験があった。

 午前7時に機体公開、正午までの間で天候等も見ながらの打ち上げという予定だったが時間は押した。
 1m50㌢ほどのロケットで、想定での高度も250mなので、種子島から打ち上げられるH3ロケットなどからすると、見た目も含め比べものにはならないが、内之浦でのまた、新しいスタートラインに立ったという。

 今、世界中で民間ロケットが打ち上げられ、その勢いはすさまじく国内でも競争が激しくなっている。
 県内にはロケット射場が2つあり、内之浦に射場ができ60数年、ロケットともに歩んできた歴史がある。それが今は、人口減や学校の閉校などもあり、町のにぎやかさも薄れ、他の射場でのニュースが流れ、昔ほどの話題に上がらなくなっているというのが現状なのか。

 ただ、宇宙産業は日増しに、年を追うごとに勢いが増し、大きな話題となっている。かつてのロケットの町、本当は今後ももっと盛り上がってもいい。
 思うのは、今度は一地域や自治体だけでなく、周辺まで巻き込んだ半島全体で盛り上げていくことだと思う。

 60数年前は、日本の宇宙の先端を行く内之浦だったが、巷では、国内外での宇宙開発、そして宇宙産業が推進され、地域間競争となって考えられていて、元祖宇宙の町も大隅半島もウカウカしてられない。

 例えば、ロケット関係で内之浦を訪れる人たちは鹿屋市に宿泊する人も多いと聞くし、打ち上げ時にも鹿屋に寄ってという人も多いと思う。

 これからは、内之浦にはロケットに関連しての学生が多く訪れるようになるのではと思わせるような今回の打上実験でもあった。

 岸良海岸ではこの日、千葉工業大学が肝付町と協定を結んでから、初めてとなる打上実験で学生たちが集まったが、同大学だけでなく九州大学や第一工業大学からも来ていたという。

 千葉県は特に空港等の航空管制関係もあり、ロケット打上環境になく、この内之浦は60数年の歴史もあるので、地域の後押しや理解も高いし、美しい景色もある。

 記録をとるために来たという学生とも少し話をしたが、この自然や美味しい食べ物にとても興味もあるようで、そういった話題にもなった。

 私たちは車で1時間の移動というとそれなりの遠出のような気もするが、都会の人たちはそんなに気にならないという。美味しいものや美しい景色、豊かな自然を体感できるなら…。

 今後は、ロケットに関心のある学生たちが全国から集まり、この美しい砂浜でロケットや宇宙に関する様々な実験等が行われるようになる。

 これは、内之浦、肝付町だけのことでなく、鹿屋市や大隅半島全域で一度しっかり話し合って、宇宙やロケットの話題で盛り上がったり、そこから派生してくる経済の動きなども含め全体で受け入れていく。
 そんな機運も必要になってくるのでは…とも感じた。

 3~4年前は、世界の宇宙産業の市場規模は100兆円とも言われていたが、2040年には140兆円、現在は54兆円だという。これだけの成長産業でもある。

 そこまで大きな話にするつもりはないが、宇宙という括りで考えた場合、鹿児島県、この大隅半島は、その歴史を考えると、大きなパワーを生んできた場所でもあり、捉えようによっては今後も、そうした可能性も大いに秘めたところだとも感じる。

 しかし、そうしたアンテナを何も張らず、巡らせずでは、手のひら、指の間からざるのように零れ落ちるだけだ。

 何を言いたいのかというと、ロケットのまちもだが、ロケットの半島…と言われるようにならないか…。
 北海道や和歌山は、一自治体だけでなく、広域や県域で盛り上げているという。

 「日本のフロリダ大隅半島」というキャッチフレーズもあった。それは温暖な気候とかもだが、ケネディ宇宙センターがあり、内之浦を意識してのことだった。

 だいぶ前から言われていたような気がするが、集まる学生たちに、なるほど…と思わせるような、そんな半島でありたいと思ったりもした。
 月や火星、大型ロケットに比べると派手さはないが、宇宙開発の底辺を支え、それが地域の活性化にも繋がっていく…、学生との会話の中で感じたこと。(米永20250509)

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