2024年10月30日 21時22分

《雑草 》

all the people sharing all the world~人々が世界を分かち合う社会

 だいぶ前、ビートルズのコピーバンドでジョンレノンのパートを歌っていたことがあった。
 日本びいきだったジョンレノンのイマジンは、no heaven、no hell、no countries、no religion、no possessions、no need for greed or hunger、nothing to kill or die forなど、「no」を繰り返し歌っており、これは「空」の思想に繋がっているとも言われている。

 そして、all the people sharing all the world 人々が世界を分かち合い、the world will live as one 世界は一つになる…と歌っている

 「空」の思想が海外の人たちに注目されるのは、宗教的に考えると、キリスト教やイスラム教など、この世の中は神様が創ったものとされる一神教であり物事を固定的に考えるというのでなく、多神教的なものが底辺にある。
 世の中のすべての物事は、常に変化し生滅しながらお互いにつながり、関わり合っている。

 私たちが、いのちをいただいて生かされているこの世界には、人やモノ、動植物等、様々なないのちが存在していて、それらは一つひとつ別個に存在しているのではなく、お互いに関わり合って存在している。
 自分は知っているとか、知らないことだとか、自分の好き嫌いに関係なく、全てはつながっている。

 そうした考え方は、仏教的には「衆縁和合」といわれ、日本特有の神仏習合の考え方に繋がる。

 それが、no heaven、no hell、no countries、no religion…という歌詞にも繋がってくるのか…。

権力者への欲望、憎悪、相手を絶滅させようとする欲求

 改めて「平和」ということを考えるときに、引用が多くなってしまうが、物理学者アインシュタインは、人間の心自体に問題があり、人には権力欲や武器商人のように権利にすり寄って利益を得ようとする心があること。
 そうした権力を持つ人たちに、多くの人たちが従ってしまい平和が乱されるのは、人間には本能的な欲求が潜んでいて、そうした少数の権力者への欲望と、裏腹に憎悪にも駆られ、相手を絶滅させようとする欲求とがあるという。

 なので「空」とか「無」を学んでみて、日々その瞬間で変化し移りゆき、これと言って確かなものは一つもない。だからこそ、一つのことに頑なに執着したり、過去の出来事にこだわったりするのでなく、日々新たに、現状から少しでも前に進んでいく。

 さらには、この「空」から得られる知恵も悟りも実体はなく永遠に未完だという「無」の境地に至ると、人の持つ執着や煩悩から解き放たれるという考え方。

 それが、少数の権力者への欲望と、裏腹に憎悪にも駆られ、相手を絶滅させようとする欲求からも解き放たれるのかどうかは分からない。机上の空論と言われるかも知れないが、ただ、権力欲や権利にすり寄って利益を得ようとする人たちからすると、ある意味、とても脅威的な存在だと思う。

日本人の精神や文化が脅威

 穿った見方だ言われるだろうが、日本が太平洋戦争で敗戦し、連合国側は、そうした日本人の精神や文化に脅威を持ち、教育制度や豊かな食のシステムを徹底的に破壊し、日本人としての精神を抑え込んでいった。
 戦争末期、日本人が竹やりで応戦の訓練をしていた時、本土上陸作戦とともにそうした計画が着々と立てられ、実際占領し日本人と直に接しさらにそうした思いを強くしたという。

 戦争そのものが、少数の権力者への欲望と、裏腹に憎悪にも駆られ、相手を絶滅させようとする欲求の延長でもあり、敗戦後80年になろうとする今でも、多神教的な日本人の精神は失われたままなのだろうか。

 そして、人新世の資本主義が私たちの生活に大きな影響を与え、地球上の環境危機が紛争の火種になろうとしている。

 こうした現象は、避けられない状態にまで来ているのだろうが、その原因となる人間の営みを改めるような何か、その根底に存在するものがあるとすれば、前回書いた利他の心、日本人の持つ宗教を超えた「道」の精神、南洲翁の哲理だったりすると思う。

日本ほど穏やかで秩序正しく、勤勉な国を知りません

 精神論的な話になり、果たしてそれで本当に、この局面を打開できるかというと否という人も多いかとは思うが、日本人の底辺に流れるこの精神、GHQ連合国軍最高司令官マッカーサーは、6年8ケ月の日本の占領に関わった退任演説では、「日本ほど穏やかで秩序正しく、勤勉な国を知りません。また、人類の進歩に対して将来、積極的に貢献することがこれほど大きく期待できる国もほかに知りません。」と、直に接したマッカーサーだからこそ日本人を称賛したという。

 all the people sharing all the world 人々が世界を分かち合う社会。
 穏やかで秩序正しく、勤勉な日本人自身がもっとその精神を意識し、高めることが出来るようまた、いろんな機会でこうしたことを書いていきたい。(米永20241031)

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