《雑草 》
減反政策とみどりの食料システム戦略と~農水省
毎日のようにマスメディアやネット等で、令和のコメ騒動が話題になっていおり、流れる情報が多すぎて戸惑う。
米離れが言われたり、不作でお米が足りなくなり輸入米に頼り備蓄、そうした中での減反政策、また流通の在り方、これまでの米に対する制度が実情に合わなくなって、消費者を巻き込んでの騒動となっている。
主食でもあるので、日本の食の大きな問題でもある。
今、その大きな渦の真っただ中にあるので、今日は米がどこでいくらで販売されたか…、それも大事なことなのだろうが、生産者側からの議論がもっとあっていいと思う。

一つには、減反政策を続けてきた農水省だが、他方で、掲げるみどりの食料システム戦略を踏まえ、有機農業に地域ぐるみで取り組む産地(オーガニックビレッジ)の創出に取り組む市町村の支援に取り組んでいる。
オーガニックビレッジとは、有機農業の生産から消費まで一貫し、農業者のみならず事業者や地域内外の住民を巻き込んだ地域ぐるみの取組を進める市町村のことで、農林水産省としては、先進的なモデル地区を順次創出し、横展開を図っていく考え。
今、手を挙げているのは、令和6年度で鹿児島県内は2市3町、残念ながら大隅半島にはない。全国で令和5年度で93市町村、6年度では新たに38市町村が取り組みを開始し131市町村だという。
それがどうしたの…と言われそうだが、ここでのコラムで以前から書いてきたように、例えば千葉県いすみ市。
食育、農業と環境との関わり、その理解増進のため、地産地消・有機農産物の学校給食に取り組んでいる。
明らかに農業所得が向上、新規就農希望者も増
その中でも、古くから主食として食べられてきた「ごはん」は、一般的な日本人の体質に合った最適な主食。
「ごはん」を食べる頻度の高い人は、バランスのよい食事をとる頻度が高い傾向にあります…として、 米飯食、それも有機米を「いすみっこ」という銘柄でブランド化を図り学校給食に取り入れた。
2015年に有機米使用率11%でスタートしたときは約20トン、4年で学校給食の全量有機米使用42トンを達成し、35ヘクタールで120トンを生産するまでに成長。
学校給食での使用が抜群のブランドイメージとなり、産地化を果たしたことで、売り先の心配をすることなく有機米づくりを拡大。
明らかに農業所得が向上し、一般に、設備投資の負担など採算を見込むことが難しい稲作の新規就農者は少ないが、いすみ市では、有機米づくりを志向する新規就農希望者が増加しているという。
人口約3万6000人、小学校9、中学校3校2200食という規模なので、一概には言えないかもしれないが、大隅半島では鹿屋市以外では、可能ではないのだろうか。
2050年までに有機農業面積の割合を25%(100万ha)に拡大
有機とかオーガニックを声高にいうことでなく、これら取組は子どもたちの食育に加え、農家、生産者の側から考えても、さらに地域の活性化にも繋がっていくと思う。
大隅半島は、食の供給基地と言われているので、それらまで含めすべてを有機に!と声を上げるのではなく、こうした事例もあり、今回の米不足や米高騰を考えると、営農が持続可能になることで、食の安全保障を担保するような流れも作れるのではないかと思う。
減反を進めてきた農水省だが、みどりの食糧システム戦略では、2050年までに、オーガニック市場を拡大しつつ、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大するという。
2024年度で131自治体、オーガニックビレッジは野菜もなので、様々な取り組みができると思うし、すべての自治体でお米がとれるわけでもないが、主食のお米については有機で子どもたちに食べてもらいたい。
すでに米飯を給食で推進している自治体、地域もあるが、有機100万haの目標を、各自治体の学校給食で実現できたら、子どもたちの食育もだが、生産者の生活基盤となっていく。
それにはお母さん、お父さんたちも意識して声を上げてもらいたいし、豊かな自然、農を守るためにも自治体、教育委員会のさらなる取組にも大いに期待したい。(米永20250617)