《宇宙 》
宇宙ビジネス人材育成を目指した特別講義~楠隼高で
県立楠隼中高一貫教育校(德留敏郎校長)は、全国初の取り組みとなった昨年度に引き続き、楠隼高の「シリーズ宇宙学」の一環として、宇宙ビジネス人材育成を目指した特別講義を2024年6月13日から全5回で実施。
実際に宇宙ビジネスに携わる技術者・研究者等の講義を通じて、生徒が宇宙ビジネスへの理解を深め、今秋以降、自らがテーマを設定した探究活動に取り組むことで、広い視野や好奇心、冒険•探究心、ものづくりの心を育むことを目指す。
楠隼高は、2015年創立以来実施の「シリーズ宇宙学」の拡充を図り、講義する各社は、自事業の理解増進、次世代を担う宇宙産業人材の育成や、将来必要となる宇宙産業人材の輩出も視野に入れ、九州で宇宙産業を根付かせ、産業全体も底上げすることにも貢献していくを目指いしている。
昨年からの講義は、2023年3月に内閣府及び経済産業省が選定する「宇宙ビジネス創出推進自治体(S-NET自治体)」に選ばれ、宇宙関連産業への参入支援による新産業創出を目指す鹿児島県(商工労働水産部)に加え、スペースサイエンスタウン構想実現を目指す肝付町宇宙のまちづくり推進課の支援も得ながら実施。
第1回の13日には、QPS研究所代表取締役副社長の市來敏光を講師に「九州の宇宙産業化への挑戦/事業創造を学ぶ」の授業を聞いた。
今、世界をよりよく便利にしようと新しいベンチャー企業がいっぱい生まれている。
九州での初の宇宙ベンチャー企業はQPS研究所で、宇宙産業に関わる人たちは、宇宙旅行やイーロンマスク氏のスペースⅩなど火星に人が住む世界を目指している…などとして、今、どんなロケットが打ち上げられ、何が起ころうとしているのかを説明。
宇宙には多くの分野があり、国では予算や能力など自分たちでやるには限界があり、民間の力を借りて事業が進められ、日本では2005年から102社の新しい宇宙企業が生まれている。
そして九州に宇宙産業を根付かせるためにQPS研究所もある…として設立当時の話、九州大学での20年以上の小型惑星研究と開発をベースにしているその背景や歴史。
種子島と内之浦から打ち上げられるロケットや衛星は九州の外で作られている、日本中の九州出身宇宙後術者が働ける宇宙産業を九州につくりたい…九州の地場パートナーとの取り組みをさらに多くくしたい、世界初の小型人工衛星を作ろう、としてスタートした。
軽量で収納性が高い小型衛星向け展開アンテナを世界初で開発し、これまで7機の衛星を打ち上げてきた。
衛星からの世界各地の映像を見せながら、小型衛星1機打ち上げるだけでも約10億円が掛かる。
借金しかない、誰も知らない、資産や発明もない。銀行や国はお金を貸してくれない、出してくれない中で、どうやってお金を手に入れたのか…。
例えば、会社の価値は1億円だとして、将来は100億円の価値になるというアイデア、世界観、計画を示し、この会社は成長しそうだ、面白そうな会社だと思ってもらう。
2017年10月には23億5千万円を集めスタートアップしたことを語り、ビジネスにするために一番重要な視点、世の中の問題や不満、苦痛を解決する…など。
実現するためにとった行動なども話した。
授業合間の休憩中も、教室に展示してあった展開アンテナを見ながら質問をしたり、意見を交わしあっていた。
授業を受けた中村憲正君は、「宇宙に興味があってこの学校にきましたが、宇宙飛行士とかでなくエンジニアを目指してみたい。今日の話を聞いてさらに興味がわきました」など話していた。
次回以降の授業予定は次の通り。
第2回
2024年6月20日(木)9:35〜11:15
「小型衛星•ものづくりの挑戦」(オガワ機工伊藤氏・昭和電気研究所古賀氏・QPS研究所上津原氏)
第3回
2024年7月4日(木)9:40~11:30
「衛星データ利用によるソリューション事業の挑戦」(スカパーJSAT平田大輔氏)
第4回
2024年7月11日(木)9:35〜11:15
「小型固体ロケットの挑戦」(ロケットリンクテクノロジー和田豊氏)
第5回
2024年7月18日(木)13:15-14:55
「DX(AI・IoT)と宇宙の挑戦」(Fusic納富貞嘉氏)