2024年12月06日 07時13分

《教育・社会 》

一番恐れるのが風化 若い世代が関心を持って世論高めて

北朝鮮拉致被害者市川さん夫妻が第一鹿屋中で講演

 北朝鮮による拉致被害者市川修一さんの兄・健一さん(79)、龍子さん(78)夫妻=鹿屋市輝北=が、令和6年12月4日、第一鹿屋中学校で講演を行った。

 市川修一さん(当時23)は、1978年に日置市の吹上浜で北朝鮮に拉致されてから早46年が経ち、健一さんは「一番恐れているのが拉致問題が風化すること。若い世代が関心を持って、世論を高めて欲しい」と訴えていた。

 同講演は、4日から10日まで1週間、「第76回人権週間」がスタート、その初日に開催されたもの。
 人権について、拉致問題について、改めて考えるきっかけになるよう行われたもので、全校生徒約640人が熱心に市川夫妻の話を聴いた。

 健一さんは、修一さんが吹上浜で拉致されたときのことや家族のこと、拉致被害者の家族により「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)」が結成され、署名活動など運動ずっと続けてきたこと。

 2002年10月に帰国を果たした5人のこと、その後の政府の動きや、北朝鮮は修一さんが死亡したといううそをついている…などの話をした。

 龍子さんは、母は着れもしない、修一の20代の頃のスーツなどを取り出し、修一が帰ってきたら…と虫干しする姿を見るにつけて本当にやるせない心境だったこと。

 母が、北朝鮮が目の前の38度線で、修一の名を呼び叫んで涙を流したこと、私も行って同じようにしたこと…などの話をし、「若い世代の皆さんが関心を持って、私たちとともに世論を高めてくれたら大変ありがたい」「ただいまという声を聞きたい、おかえりと言ってあげたい、絶対にあきらめない」など訴えていた。

 約1時間の市川夫妻の生の声を聞いて、生徒代表の2年生、山元唯舞さんが「北朝鮮拉致事件についてはニュースで見ただけでしたが、実際に話を聞いて、実際は家族の中でも話にも出せず、その苦しさはとても考えられず胸が苦しくなりました。それにもかかわらず署名活動など続け、46年間待ち続け信じる家族の愛にとても心を動かされました。

 罪のない人の人生を奪い、家族の長い間苦しめる北朝鮮拉致事件は絶対許されないことです。今日の学習を通して北朝鮮拉致事件を絶対に風化させてはいけないと強く感じました。そのために生徒全員で考え伝えていきます。そして日常の当たり前に感謝していきます」とお礼の言葉を述べた。

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