2025年04月14日 15時57分
《大隅点描 》
修験道の権現山~最南限のツクシアケボノツツジが自生
権現山(旧中嶽)は、内之浦町岸良地区にあり、国土地理院2万5千図に標高「733.6」mと記されている。
標高こそ低山であるが、花崗岩からなる岩峰が二つあり、東権現、西権現といい、名の通り古来からの旧修験道の山であった。古記に「天台宗愛宕山修験」が見える。

東峰は高さ20m位のトンガリ露頭岩で頂は笠石を被せたような雨避けの岩屋になっており、芸術的で岩下にも大きな岩屋が2つあり、これまた芸術的であり、岩屋から花崗岩を伝って岩清水がボタボタと落ちており、当時の僧がこの岩屋で寝泊まりして修行に励んでいたことが認められる。
岩頂へは要注意で360度大パノラマとなる。

西峰へは岩尾根伝いに低木林の平坦道を約500m進んだ所に開けた岩露頭地となっており、北と西方向に展望が開けるが、肝属山地を望むのみである。
岩頂下は樹海で見も凍るほどの巨岩で落差約40mはある、低木をロープ代わりにつかまりながらの撮影となり、遠くに甫与志岳が青空天下に望まれた。

調査を重ねることで本山が修験道の霊地として崇められ最南限の修験の世界が見えてきた。
しかも岩嶺下のイスノキ原生林は見事で、しかもこの低山の岩地に最南限のツクシアケボノツツジ約30本が自生、驚きであり、学術的価値は高くこの岩峰の景観は天然記念物に相当するものがあると感じえた。
大隅の自然、歴史研究
坂元二三夫