2024年05月25日 18時37分

《おおすみ雑記 》

劣化したシステムが生きづらさや子育てしづらさに繋がる

 人口減少時代でも、全国で魅力ある自治体に移住する若者が増えているという。中には、減少する人口の中でのパイの取り合いで、人口減解消にはならない…という人もいる。

 しかし、そうなのだろうか。
 時代は大きく変わっているのに、国の施策が古い体質のまま、人口減少するような劣化したシステムを相も変わらず続けてきたことで、生きづらさや子育てしづらさに繋がっているのではないか。
 パイの取り合いというよりも、今のこの世の中の変化についていけないまま、その井の中でどれだけあがいても勘定合って銭足らず、結果は伴わない。

 国の施策に右へ倣え、全国同じようなことをしていると、パイの取り合いという発想になるのだろうが、特に若者やファミリー層の移住が増えている地域は、そことは違う発想で発信をしているからこそ、そういう結果になるのだろうと思う。

本来エデュケーションにはteachingという要素ない、教師も大変

 例えば教育、先生が子どもたちに教え、画一的な子どもたちに育て上げようとするのでなく、子どもたちの自主性を重んじ、個性ある子供として導き、田舎ならでは、のびのびと自然の中で学校生活をところが人気があるという。子どもというよりそういうチョイスをする親も増えてきたということなのか。

 これは、昨年に観た「夢見る小学校」という映画上映のあとあった講演で聞いた話で受け売りだが、教育とは、「ある人間を望ましい姿に変化させるために、身心両面にわたって意図的、計画的に働きかけること。知識の啓発、技能の教授、人間性の涵養などを図り、その人の持つ能力を伸ばそうと試みること。(小学館大辞泉)」らしい。

 エデュケーションの語源は、ラテン語educareの「引き出す」「呼び起こす」という意味、人間の内面にあるものを呼び起こすことであり、エデュケーションには教える(teaching)という要素は全く入っていない。
 内部にあることを引き出すことと、外部から与えることとはまさに正反対だという。

 また、先日の志布志みなとロータリークラブ25周年の講演で聴いた話の中で、「これまで社会は、同じであることを求めてきた。社会を安定して保持するためには集団性の維持が前提となる…という思い込み。おにぎりのサイズを揃えるのではなく、異なるサイズのおにぎりを生かす。ん?異なるサイズのおにぎりも、揃ったサイズのおにぎりも同じように尊いのでは? 多様性という言葉の落とし穴がある」

また違う形で地域の活気が生まれる

 これらの話を聞いて、詰め込み教育、ゆとり教育ということではなく、教師不足の問題も教師の勤務時間もだが、給与を上げるということも必要なのかもしれないが、今の時代に合わないカリキュラム、学校や社会、ルールに子どもをはめ込み、ほとんどが150年、同じ年齢、同じ部屋、同じ時間、同じ内容、同じペースで同じように教えている。
 私たちの小学生のころは、「仲良し学級」というクラスがあって、他は50人近いクラスだが、数人程度。
 今は、特別支援学校があり、不登校や引きこもり、発達障害なども含め、ベースが同じ年齢、同じ部屋、同じ時間、同じ内容、同じペースで同じように教えてようとしているから、子どもたちも窮屈で、先生たちにも無理が来る。

 夢見る小学校での「きのくに子どもの村学園」は、30年前から子どもたち主導の「体験学習」を実践。
 志布志での講師の立花学園、齋藤校長は、100回の「頑張れ」よりも…、たった1回の「よう頑張っているね!」という共感的理解、命の居場所づくりを…という。

 教育を理由に移住先がチョイスされるその自治体では、そうした学校側主導というより、個性を大事に子どもたち中心の授業をベースに、移住定住に関わる様々な補助や支援を行っているという。そうした情報は、今、簡単に手に入る時代となっている。

 誘致企業での人口増もだが、ファミリーとして移住してくると、また違う形で地域の活気が生まれてくる。

 そこにはその地域の仕事も必要で、人気ある自治体はそこまで支援の対象になっているのだろう。

人口減少に歯止めが止まらない流れに…

 あと、移住を選択する一つの要因には、教育とも関連しながら食と農もあると感じている。例えば、アトピーや発達障害を持つ子どもを持つ親は、自然に近い農法、子どもたちにやさしい食を求めるなど、その移住してくる人たちの意識、もちろん経済的なこともだが、その目線の先には、違ったものが映っているようにも思える。

 かなり偏見に満ちた考えだと思われるかもしれないが、まだまだ他の要素もあるのだろう。ただ、気になるのが、別なコラムで別な視点で書いた今国会で成立を目指しているといわれる地方自治法改正。

 国の施策に右へ倣えでなく、能動的にいろんな意味で成果を出している自治体の能力を過小評価、緊急時だけにとどまらず地方分権の趣旨と地域主権の流れをそぎ「上意下達に逆戻りする」のではと危惧されている。

 穿った見方かもしれないが、これでは地方の活力は低下、人口減少に歯止めが止まらない流れに導いてしまうのか…。
 地方がもっと声を上げるべきときか…。(20240525)

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