2025年02月17日 18時55分

《大隅点描 》

志布志の春祭り~民俗学上の価値として貴重に思う

 鹿児島県志布志市志布志町安楽で令和7年2月8日、山宮神社、2月9日安楽神社(やすら)で、2社合同の春祭りが行われた。

 祭りの中心は山宮神社で田の神夫婦が登場し、今年の豊凶と農民との田の神問答と、田の神夫婦が輪に入っての青年、少年によるテベス踊りである。

 テベス踊りは、正月踊りともいわれ、2社だけでなく両日は安楽地方の各集落を廻って踊る。

 テンポの早い三味線、太鼓、鉦の3楽器に合わせて踊りまくり、飛び跳ねる場面も多く、体力も必要で、両日は大変忙しい祭りである。

 安楽神社では、明らかに豊作を願う打植祭である。
 田の神夫婦の農民との問答に始まり、田打ち、牛使い、種蒔き、田植舞、鉤引き、そしてテベス踊りで終了する。

 この打植際のの連続性に見ると、劇場型ともいうべきで、特に田打(写真)は、「農夫が水田の四隅を鍬(クワ)でならしている処に早乙女(さおとめ)が現われ、農夫に声を掛ける仕草(しぐさ)を見せる。

 農夫はこれに応答する仕草を示し鍬を止める。
 早乙女は頭上にのせていたニギリメシと田植え用の種籾を農夫に渡す」。

 このワンシーンはドラマ的で、わずか数秒の出来事であるが、古来からの農耕文化の有り様の一つとして、芸能的に今日に残し伝えており、民俗学上の価値として貴重に思う。

 大隅の自然、歴史研究
 坂元二三夫

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