《教育・社会 》
東京の盲導犬ユーザー西島さん 相棒ルート君 細小で授業
鹿屋市串良町の細山田小学校に令和6年11月7日、東京から日本盲導犬協会の盲導犬ユーザーの西島勇一さんと相棒の盲導犬ルートくん(英国ゴールデンレトリバー)が訪れ、4年生に対し特別授業があった。
西島さんは、左目は全盲、右目は光と大まかな色だけはボヤっとわかる程度の視力で、長年盲導犬ユーザーで東京在住。
現在の相棒のルート君は2代目、7年半ともに過ごしている。
長年連れ添った分身でもあるルート君は、2024年12月26日で10歳を迎え、人間の年齢でいうと70歳を超える。誕生日を迎えるとともに盲導犬から引退される。
残り少ないルート君との活動の日々を無駄にしたくないと、西島さんは献身的に多くの地域へ東京から出向き、盲導犬が理解される社会づくりの為に活動を続けている。
特に奥さんが出水市出身ということで、最初は出水市の小学校を訪問。
その活動が他の学校や地域に広まって、今は霧島市、鹿屋市や垂水市大崎町など県内各地の小学校で、盲導犬や知覚障害のある人の理解を深める特別授業を行っている。
この日は、西島さんがルート君のことを紹介し、盲導犬がハーネスをつけているときにやってはいけないことは
①触ってはいけない
②読んではいけない
③ものや水を与えてはいけない
そして大事なことは
④目を見てはいけない
など話した。
児童からは、「盲導犬と一緒にいるとき、一番すごいと思ったことは何ですか」「盲導犬といっしょにいて、どんなふうに毎日が変わりましたが」「盲導犬は、いつも目が見えない人のそばにずっといるんですか」などの質問をし、西島さんが丁寧に答えていた。
写真=移動支援「同行援護」の上山晴美さんも説明
盲導犬とのふれあいでは、盲導犬がハーネスをしているときとしていないときの違いを説明、児童の周りをぐるりと回り、先生の前で立ってみせた。
最後は、児童がなでたり、寝転がってお腹を見せたりし、キャーと声を出しながら触りふれあっていた。
また、近くの保育園児が学校を訪れていて、園児ともふれあっていた。
最後に西島さんは児童に対し「他の人をいじめてはいけません。友達と仲良く」などメッセージを伝え、「いじめをしたら来年は来ません。約束を守れますが」など話していた。
ルート君引退後は、3頭目になる新しい盲導犬とに、しばらくトレーニング生活に入るが、ルート君の誕生日がクリスマス直後ということもあり、年が明けてからの引退となって、「少しでも長くいっしょに過ごせる」と西島さんは喜んでいる。
また、新しい盲導犬とともに、訓練が落ち着いたらまた、地域への普及活動に出向きたい…と語っていた。
西島さんは「盲導犬のことが世の中に知りわたっていない。例えばレストランやラーメン店で入店拒否される。白杖をついて盲導犬とともに入ろうとすると、遠慮してください…と言われる。
盲導犬は犬ではあって白杖の人と同じなんです。白杖の人に、あなたは遠慮してください…と言っていることになる。
それをなくすために活動をしています。
タクシーでもそうで、犬はちょっとぉ…と言われる。犬は犬ですけど盲導犬なんです。許可証もあります…と言っても、でかくて毛が落ちるし…と言われる。ただそのために洋服着せてブラッシングも毎日して歯磨きもして耳掃除もして全部ケアしている。
一回着せたら次の日は着せない、2百50何着持ってきていて、汚れてもいいように気を使い、そこまで持っている盲導犬ユーザーはいないです。私より衣装持ちなんです。
ここまでケアしているので、入店拒否とかをなくして欲しいという思いでふれあいを続けています。
出水から始めた子どもたちが、今、高校生とかになり、盲導犬を見たり白杖をついている人たち、お年寄りを見掛けると声掛けしてますよ…などと言われ、子どもたちがそういうふうになってきている」など語っている。
写真=中西樹悠君が児童を代表してお礼の言葉
西島さんは、鹿児島に来るときも全部、飛行機代など交通費や宿泊費も全部自費、宿泊で今回35万円、タクシー代も1回で1万円を超えるときもあり、それでも日本盲導犬協会や厚生労働省からは一切お金、助成はもらっていないという。
今回、鹿屋市内小学校を4校回るが、この日は、視覚障害者相談支援事業所「猫の手」による「同行援護」の上山晴美さんが移動支援を行っており、「大変助かっています」と感謝。
鹿児島に来る費用は、障害者年金を貯めて来ているという。「それは、女房の実家が出水ということでスタートしまし、いろんな縁があって広がり鹿児島を回っていますが、国は思ってないです。鹿児島の子どもたちを見ると横断歩道を渡るとき手を上げ、渡り切ったら帽子をしお辞儀して、とても元気で、孫のような感覚できています。(笑いながら)盲導犬といっしょに鹿児島に住みたいくらいです」と語っていた。