《雑草 》
各国で販売禁止のラウンドアップ、なぜ日本では店頭に
こうして食のことを書いていると、読んでいただいた方々からご意見をいただく。
特に除草剤のことで、海外では発がん性物質が入っているといって裁判になり、発売禁止になっているグリホサート系除草剤ラウンドアップ。なのに日本では、平気でホームセンターなどで山積みで販売されている。
しかも、家庭の庭とか、道路際、路側帯だけでなく、公園や学校とかでも使われている可能性がある。
子どもたちの間でも、今、アレルギーや発達障害などの症状が出ている一つの要因には、こうしたことが関係あるのでは…ということ。
日本でのラウンドアップ販売について
化学肥料のことも書いていきたいと思っていたが、それは次の機会にして、日本でのラウンドアップ販売についてちょっと調べてみた。
日本では日産化学工業㈱が2002年5月にモンサントの日本での農薬除草剤事業を買収し、ラウンドアップの日本での販売権を引き継ぎ、「優れた効力と環境に優しい除草剤」などと宣伝し販売してきた。
日産化学工業㈱は、今は日産化学㈱に社名を変え、同社ホームページでは、少し長くなるが、次のメッセージを伝えている。
グリホサートの安全性に関する様々な議論があるが…
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現代では様々な情報が多くの手段で発信され、取得できる環境です。
そのような中でラウンドアップやグリホサートに関する誤った理解を持たれる方がいるということも事実です。
本ページは、ラウンドアップ®マックスロードに関する安全性について、科学的根拠に基づいた正しい情報発信を目的としております。
除草剤ラウンドアップ®マックスロードシリーズ(有効成分:グリホサートカリウム塩)は食糧生産場面における使用だけでなく、一般家庭の住環境における雑草対策、各種産業場面の事業環境保守、さらには自然環境保護のための難防除雑草対策と長年に渡ってご使用頂いています。
そして様々な場面における環境整備と、ご使用頂いている方々の省力化に貢献しています。
近年、ラウンドアップやその有効成分であるグリホサートの安全性に関する様々な議論がありますが、除草剤ラウンドアップ®マックスロード製品は安全性について、継続的かつ厳正な審査を受け、使用を認可されています。
事実として、ラウンドアップ®マックスロード製品は日本国内において農林水産省の登録を取得しています。
そのプロセスでは当然ながら多くの安全性試験がなされ、様々な項目について評価がなされています。
またラウンドアップ®マックスロード製品の有効成分であるグリホサートも、日本国内のみならず、アメリカ、EU、カナダ゙、オーストラリア、ニュージーランドなどの世界各国の規制当局も安全性を評価しております。また、国際的な評価機関であるFAO/WHO合同残留農薬専門家会議(JMPR)でも同様に安全性が評価されています。
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学校の校庭整備使用のラウンドアップ原因で、悪性リンパ腫発症…と裁判
反面、前回まで記したように、米国では2020年6月、除草剤の発がん性をめぐる訴訟で、約12万5千人の原告の大半に合計最大109億ドル(約1兆1600億円)を支払うことで和解が成立。
2018年8月に起こされた裁判では、米国で「学校の校庭整備のために使用したラウンドアップが原因で、悪性リンパ腫を発症した」と末期がん患者がモンサント社に損害賠償を求め争う中で、「グリホサートにがんを引き起こす可能性がある」と示されたモンサントの秘密文書が明らかになっている。
ラウンドアップの危険性が最初に問題にされたのは、1996年にモンサント社が「食卓塩より安全」「飲んでも大丈夫」「動物にも鳥にも魚にも“事実上毒ではない”」と宣伝。 これに対し、ニューヨークの弁護士が訴訟を起こしたもの。
2007年にモンサントは「嘘の広告」で有罪判決を受けている。
2001年にはフランスでも消費者の権利を守る運動をおこなっている活動家が訴訟提起。
争点になったのはグリホサート使用による土壌の汚染問題で、EUは「環境に危険であり、水生動物にとって毒である」とした。
また2003年には、デンマークがラウンドアップの散布を禁止。これはグリホサートが土壌を通り抜けて地下水を汚染していることが明らかになったことによるものという。
なのに日本国内では農林水産省の登録を取得
このように世界各国で裁判が起こされ、散布や販売が禁止されている。
なので、同社が言うように、アメリカ、EUほか世界各国の規制当局も安全性を評価している…と断言するのは、説明不足の面もあるのだろう。それこそ誤解を招く。
しかし、一番問題なのは、「日本国内において農林水産省の登録を取得している」ということなのだろう。
それは、ラウンドアップには、モンサント社がさらに開発、ラウンドアップ耐性農作物遺伝子組み換え作物とセットで販売する狙いがあると指摘され、さらにタネのFI~種子法廃止~種苗法改正とも繋がっている構造的なものだとも指摘されている。
そこでは、別なコラム(おおすみ雑記)の中でも書いている「ショックドクトリン」というメカニズムの中の「回転ドア」に例えられるシステム、そこに踏み入っていく必要があると感じている…。(米永20240124)