2024年08月08日 15時33分

《芸術・芸能 》

ヘミングウェイ邸宅をモデルにした南風図書館で読書会

郷原茂樹作家を囲む読書会

 郷原茂樹作家を囲む読書会が、令和6年7月31日、鹿屋市浜田町の南風図書館で開かれた。

 同図書館は、作家ヘミング・ウェイの邸宅をモデルにして建設。そのライフスタイルに憧れ、郷原氏の創作活動の場となっている。

 この日は、駐日サンマリノ共和国大使館特別顧問の北山邦子さんが、まず、郷原氏の著書「南風の丘にてー7人の女性の物語ー」の中の表現について「私たちの目線では、太陽が昇って沈むという表現をしますけど、実はそうではないよ、地球がこちらのほうにゆっくりと重々しく回転していく」という表現、新しい何かが自分の中に入ってくるような、そんな感覚…などを伝えた。

 なんでこんなすごい書き方をする方が、この大隅半島に住んでおられて、文豪でありご健在でいらっしゃるのに、なんで評価されていないのかと驚いている、それは私たちの感性が乏しくなっているのでは…など話した。

 郷原氏は、「北山さんに最初お会いした時に雲の話をされた。朝日新聞記者の小林さんからの手紙に『雲の描写が大事なポイントで、郷原詩人の一面を感じさせてくれます』と励ましてくれてたが、北山さんが同じことを言われたのでびっくりした。

 新宿に住んで書いていた時から、一貫して雲の描写がポイントだと小林さんに言われ、その当時、『君がいた新宿』という本の中に、流れゆく羊雲というのがある。

 バブルの時代に次々とビルが立ち、その窓ガラスに雲が映っている、高ーい空にある雲が窓に映ると、ビルの上から斜めに降りてきて、次のビルの陰に消えていく。これは面白いと思って、それが小説の冒頭に書いてある。

 ほとんどの人が読んで何のことよ…と思って終わるけど、ある人が、登場してくる女の人が、ものすごい悲しい、耐え難い悲しみを背負って生きているんだな…と感じる、書いてない部分、文章と文章と間にある奥の部分、そういうのを感じてくださる人がいる。そこが小説なんです。理屈じゃないんです…など述べるなど、著書にまつわる話が続いた。

 これらに対し、参加者がその感想「雲を新宿の街で感じられるという人は、特別な感性をお持ちだと思う」などや、読書を通して感じていることなどをそれぞれ出し合い、図書館からの錦江湾に沈む夕日を眺めながら、知的で感性あるひと時を過ごしていた。

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