2025年10月06日 10時04分

《食・物産 》

南限の御岳ミズナラ林~学術的に貴重

 ブナ科であるミズナラ、ブナは日本の冷温帯落葉広葉樹を代表する樹木として知られる。

 そのミズナラは鹿児島県では霧島山と高隈山のみに生育するが、このミズナラは不思議と御岳のみに隔離されたように分布している。

 ミズナラの種子はドングリであり、他峯へ分布が広がらない理由要因はよく分かっていないが、同じ御岳のみに分布する冷温帯植物のヤマトアオダモ、ナガバシュロソウ、クロヒナスゲがあることを考えてみて、高隈山系の中でも御岳は地層が古く、独立峰としての特有な地形と季節風との関連性が考えられる。

 つまりミズナラの生育に適した山と言える。

 今日の温暖化で同じ南限のブナの消滅が心配される中にあって、ミズナラだけは45年前の調査とは変わりなく病害虫や強風にも強く元気に生育を続けている。

 写真はNHK電波塔付近に生え、ドングリの実を付けたミズナラである。
 ミズナラの幹肌は灰白で葉はナラ特有な特徴があり屯倉やすく登山道から山頂にかけて分布し、北東斜面では巨木の群落地が眼下に見られる。

 高隈山系を南限とする冷温暖性植生を知る上でミズナラ、ブナ等は、その標本となりえ学術的に貴重である。

 大隅の自然、歴史研究
 坂元二三夫

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