2025年04月20日 11時30分

《大隅点描 》

原種タカクマエビネ咲く~新たな発見として捉え

 ラン科エビネ属の唇弁(舌)は、基本的に切れ込みが入る3分裂である。
 しかし、キリシマエビネのように切れ込みが浅いものがある。

 さらに全く切り込みのない1枚舌のものがあるとされる。
 そんな中、鹿児島県桜島東方の高隈山にて一般的なエビネ5株に、切れ込みのない1枚舌の出現を周囲山林で見出した。

 キリシマネビネの可能性も考えてみたが、キリシマネビネの花は下向きに咲き、その違いは明白である。
 エビネの唇弁は3裂形と決まっており、エビネからの1枚舌は驚くべき発見である。

 写真に見るように、唇弁は横幅1・7㌢、縦1㌢の扇形で、桃色(サクラ色)をしており、表面に乱れはなく完璧な1枚舌である。

 唇弁下部は波状隆起となっている。
 花弁と萼片は茶褐色」で径3㌢、花茎の高さ35㌢、花数は6個から15個をまばらにつける。

 葉は3枚で特に違い見られない。見た目の形体は明らかにエビネであることから、エビネの遺伝形質が変わる突然変異の可能性もある。

 しかし唇弁に切れ込みのない1枚舌が継続した特徴を持つのは、原種エビネ属唯一であることから、原種エビネとは分けて新たな原種の発見として捉えている。

 和名は山地にちなみタカクマエビネと名づけることとした。

 大隅の自然、歴史研究
 坂元二三夫

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